特定技能外国人を受け入れた後の届出には、年1回の「定期届出」と、事由が起きるたびに出す「随時届出」があります。この記事では随時届出の種類・期限・様式と、電子届出システムを使ったオンライン提出、窓口・郵送での出し方を、出入国在留管理庁の資料に沿って整理します。年1回の定期届出は、特定技能の定期届出の記事で扱っています。

随時届出と定期届出の違い

区分出すタイミング主な根拠
随時届出雇用契約の変更・終了、受入れ困難などの事由が起きたとき入管法第19条の18第1項
定期届出年1回(4月1日〜翌年3月31日分を、翌年5月31日までに)入管法第19条の18第2項

どちらも特定技能所属機関(受入れ機関)の義務です。定期届出を出していても、随時届出を省略することはできません。

所属機関が出す随時届出6種類と様式

2025年4月1日施行の省令改正で、随時届出の項目は次の6種類に整理されました。様式はいずれも「参考様式」で、使用は任意ですが、出入国在留管理庁は参考様式の利用を勧めています。

届出主な事由届出書主な添付書類期限
特定技能雇用契約に係る届出契約内容の変更第3-1-1号雇用条件書(第1-6号)の写しなど事由発生日から14日以内
同上契約の終了、新たな契約の締結第3-1-2号事由に応じた資料事由発生日から14日以内
支援計画変更に係る届出支援責任者・担当者の変更、委託先の登録支援機関の変更、自社支援への切替えなど第3-2号変更内容の証明資料(参考:支援計画書 第1-17号)事由発生日から14日以内
支援委託契約に係る届出登録支援機関との契約の締結・変更・終了第3-3-1号(変更)、第3-3-2号(終了・締結)契約内容の疎明資料(参考:支援委託契約に関する説明書 第1-25号)事由発生日から14日以内
受入れ困難に係る届出自己都合でない退職、行方不明、傷病、1か月以上の活動未実施など第3-4号第5-11号・第5-14号・第5-15号のいずれか事由発生日から14日以内
基準不適合に係る届出税・社会保険料の滞納、非自発的離職の発生、不正行為など第3-5号基準不適合に係る説明書(第5-18号)14日以内(Q&Aでは事由を知った日から)
支援計画の実施困難に係る届出支援計画どおりの支援ができなかった、他機関へ相談した(自社支援の場合)第3-7号第5-4号、第5-5号、第5-6号、第5-12号、第5-13号、第5-18号など該当するもの事由を認知した日から14日以内

受入れ困難の説明書は事由で選ぶ

受入れ困難に係る届出には、経緯の説明書を必ず添付します。

  • 入国または在留資格変更の許可後に、1か月以上活動できない事由が生じた:第5-14号
  • 行方不明になった:第5-15号
  • それ以外:第5-11号

1か月以上の活動未実施には、雇用後に活動できなくなった場合だけでなく、許可を受けてから1か月たっても就労を始められない場合も含まれます。

14日の数え方

  • 到達で判断:郵送でも、14日以内に地方出入国在留管理局・支局に届いている必要があります。消印では足りません。
  • 雇用契約の変更日:合意で変更の効力が生じた日です。9月1日に「10月1日から賃金を変更する」と合意した場合、変更日は10月1日で、そこから14日以内に出します。
  • 未来の日付は不可:事由が起きる前に、予定日を発生日として届け出ることはできません。
  • 遅れた場合:期限を過ぎても提出はできます。速やかに出し、遅れた理由を説明する文書を必ず添付します。
  • 特定技能でなくなった後:「特定技能」で在留していた間に起きた事由であれば、その後に他の在留資格へ変更したり出国したりしていても届出が必要です。

届出が要る場面・要らない場面

出入国在留管理庁の随時届出Q&Aから、迷いやすい例をまとめます。

場面扱い
報酬・労働条件以外の、契約に実質的な影響がない変更「軽微な変更」として届出不要(具体例は運用要領第7章第1節第1の別表)
所属機関の名称・住所の変更雇用契約の変更届出は不要(指定書の補正を望む場合は申出)
本人の自己都合による退職受入れ困難の届出は不要。契約終了の届出(第3-1-2号)のみ
自己都合で他の在留資格に変更し、雇用は続ける受入れ困難の届出は不要。ただし特定技能雇用契約の終了の届出は必要
委託先の登録支援機関を変更旧機関との契約終了と新機関との契約締結(第3-3-2号)に加え、支援計画変更(第3-2号)も必要
基準不適合を14日以内に是正できたそれでも届出は必要。第5-18号に原因と改善の経緯を書く
本人から義務的支援は不要との申出があった実施困難の届出は不要。ただし申出があったことは記録として保管
支援を登録支援機関に全部委託している所属機関の実施困難の届出(第3-7号)は不要。登録支援機関が特異事案報告(第4-3号)を出す

支援を全部委託していても、所属機関の随時届出を登録支援機関が代わりに出すことはできません。

受入れ困難と契約終了の順番

解雇の予告など、契約の終了が見込まれる事由が起きた時点で、まず受入れ困難に係る届出を出します。その後、実際に契約が終了したら、終了日から14日以内に契約終了の届出を出します。急な帰国などで先に出せなかった場合は、2つを同時に出してもかまいません。受入れ困難の届出後に復職して契約が続いた場合は、契約終了の届出は不要ですが、復職の経緯を説明する文書を追加で提出します。

登録支援機関が出す届出

届出届出書期限
登録事項の変更別記第29号の16様式(登録支援機関概要書 第2-2号を添付。支援業務の開始予定日だけを変える場合を除く)変更から14日以内
支援業務の休止・廃止第4-1号休止・廃止から14日以内
支援業務の再開第4-2号再開予定日の1か月前まで
支援計画の実施における特異事案報告第4-3号と別紙認知の日から14日以内

特異事案報告は2025年4月に新設されました。全部委託を受けた支援が実施できなかった場合や、委託元の所属機関が基準不適合になったことを知った場合に、所属機関を管轄する地方局へ報告します。

出し方:電子届出システム・窓口・郵送

電子届出システム(オンライン)

特定技能所属機関・登録支援機関の届出は、すべて「出入国在留管理庁電子届出システム」で出せます。

  1. 利用者登録・利用申出:電子届出システムのポータルサイトからオンラインで行います。手順は「電子届出システム操作マニュアル 所属機関用」の9〜24ページに載っています。オンラインでできない場合は、「電子届出システム利用申出書」(別記第9号様式)を地方局へ提出します。
  2. ログイン:特定技能の届出は、ポータルサイトの「特定技能所属機関・登録支援機関の届出」欄にあるログイン先から入ります。在留諸申請や所属機関による届出のログイン先とは別なので注意してください。
  3. 入力と添付:届出情報を入力し、添付書類は入力画面からファイルで付けます。ポータルサイトには、特定技能所属機関・登録支援機関の一括届出用の様式も用意されています。
  4. 提出後の修正:「処理状況」が「処理待ち」の間は、修正・取下げができます。それ以外の状態になったら、管轄の地方局へ連絡します。

電子届出システムには次の制約があります。

  • 地方局から追加提出や補正を求められた資料は、原則としてシステムでは出せません。窓口へ持参するか郵送します。
  • システム操作の問合せ先はヘルプデスク(050-3786-3053、平日9時〜17時)です。

2026年1月5日から、システムの一部仕様が変わっています。操作はポータルサイトの最新マニュアルで確認してください。

窓口

所属機関の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局・支局に提出します。成田・羽田・中部・関西の各空港支局では受け付けていません。受付は平日の9時〜12時と13時〜16時です(手続によって曜日や時間が決まっている場合があります)。届出書を作成した所属機関の役職員が持参する場合は、本人の身分証明書を提示します。

郵送

提出先は窓口と同じです。封筒に「特定技能届出書在中」(登録支援機関は「登録支援機関届出書在中」)と朱書きし、届出書作成者の身分証明書の写しを同封します。期限内に到達している必要があるので、余裕をもって発送してください。

2025年4月以降に変わったこと

2025年4月1日施行の省令改正で、届出制度が次のように変わりました。

  • 不正行為の届出が「基準不適合に係る届出」に:従来の「出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出」は廃止されました。代わりに、特定技能基準省令第2条の基準を満たさなくなった場合全般が届出の対象になりました。不正行為は、この基準不適合の届出(第3-5号・第5-18号)で出します。
  • 支援計画の実施困難に係る届出を新設:自社支援の所属機関が対象で、認知の日から14日以内に出します。
  • 受入れ困難の整理:本人から自己都合退職の申出があった時点では、受入れ困難の届出は不要になりました。1か月以上活動できない場合の届出も明記されました。
  • 定期届出は年1回に:四半期ごとの提出から、4月1日〜翌年3月31日分を翌年5月31日までに出す方式に変わりました。最初の年1回の提出期間は2026年4月1日〜5月31日です。定期届出の様式も一本化され、登録支援機関の支援実施状況は所属機関の定期届出と一緒に出します。
  • 登録支援機関の特異事案報告を新設:上の表のとおりです。

様式番号の意味が変わった点にも注意が必要です。現在の第3-7号は「支援計画の実施困難に係る届出書」、第4-3号は「特異事案報告書」です。改正前は、どちらも支援実施状況の定期届出に使われていた番号です。古い様式や記載例を使い回さないでください。定期届出の添付書類は2026年4月1日からも扱いが変わっています。詳しくは定期届出の記事を参照してください。

届け出ないとどうなるか

届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合は、入管法で次のとおり定められています。

  • 雇用契約に係る届出(第19条の18第1項第1号):30万円以下の罰金(第71条の4)
  • それ以外の随時届出(同項第1号以外):10万円以下の過料(第77条の2)

また、届出義務の違反は基準不適合となり、一定期間、特定技能雇用契約を結べなくなる場合があります。登録支援機関の場合、届出義務違反には罰則規定はありませんが、登録の取消事由に当たり、登録を取り消される場合があります。

行政書士が作成・提出するときの注意

  • 作成を任せられるのは行政書士・弁護士だけ:所属機関の役職員以外に届出書の作成を任せる場合、相手は行政書士または弁護士に限られます。それ以外の者への委任は、行政書士法等に触れるおそれがあり、適正な届出とみなされません。
  • 委任状を付ける:作成を受任した場合は、委任関係を示す委任状を提出します。
  • 署名欄:「本届出書作成者の署名」欄には、作成した行政書士・弁護士が署名します。委任状の写しなど、委任が分かる資料を添付します。
  • 持参・郵送する人:持参・郵送する人に決まりはありません。作成者以外が出す場合は、作成者の身分証明書の写しに加えて、提出者の氏名・連絡先・所属機関との関係が分かる資料(委任状など)を付けます。身分証明書は、申請取次者証明書の写しでもかまいません。
  • 電子届出の段取り:Q&Aでは、電子届出システムの利用者は所属機関・登録支援機関の職員とされています。オンラインで出す場合は、所属機関の利用者登録と、誰が入力・提出するかを先に決めておきます。
  • 届出の責任は所属機関:作成を受任しても、届出の責任は所属機関にあります。14日の期限は事由が起きた日から進むため、退職・契約変更・支援担当者の交代などを事務所へすぐ連絡してもらう取り決めが欠かせません。

事務所での管理

随時届出は、顧問先の現場で起きた出来事を事務所が知るまでの時間で、期限に間に合うかどうかが決まります。所属機関ごとに対象者、受けた連絡、回収した書類、提出期限を案件として残しておくと、14日以内の提出と、年1回の定期届出の準備の両方がしやすくなります。

ザイリュウでは、依頼者・案件、必要書類の回収状況、在留期限を一か所で管理できます。資料の読取りや届出書の下書きにAIを使う場合の確認手順は、行政書士の入管業務におけるAI活用の記事で整理しています。

出典

制度・様式に関する記載は、2026年10月6日時点で確認できる出入国在留管理庁の資料に基づきます。提出時には最新の案内を確認してください。

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